• vol.110 AUBA活用事例インタビュー シリコーン製品を軸に多分野との共創に成功!/丸大鐵工株式会社

    岩切 寛

     

    こんにちは!AUBAカスタマーサクセスチームの岩切です!

    AUBAご活用の参考となる事例やユーザー様の声から生まれた特集情報等、様々なお役立ち情報をお届けするこのブログ、本日は活用事例の110弾をお届けいたします。


    今回は、防災金属瓦やシリコーンの製造・開発を行うこちらの企業をご紹介!


    ■丸大鐵工株式会社

    ※AUBA利用歴1年1ヶ月/コンタクト実績48社/共創検討中5社 

    https://auba.eiicon.net/projects/22501


    ●事業における課題、オープンイノベーション実践の背景は?


    ーー本日はよろしくお願いいたします。今回お話を伺うのは、代表うけたまわり役の長松様です。さっそくですが、まずは事業内容を教えてください。


    弊社は1962年設立の静岡の製造メーカーであり、金属屋根材・金属壁材・シリコーンゴム・シリコーンゴム吹き付け機器に関する製造・開発を手掛けております。屋根材と壁材にも様々な種類がありますが、弊社が扱っているのは金属の建材です。


    ま た、現在は特に「fQcoon(フキュコーン)によるQOLの向上」をテーマに掲げています。fQcoonとは、防災金属瓦のWonderfulRoof 福瓦を研究開発している際に発見した技術です。今までは塗ることしかできなかったシリコーンを、吹き付け機器にて噴射出来るようにしました。これは、シリ コーンの特性である接着性・伸縮性・他物質の接着不能性という特殊な機能を持ち合わせています。また、新素材と新工法によって”冷たさを無くす”、”熱さ を無くす”、”硬さを無くす”ことを実現し、限りなくアレルギー反応を抑えた安全なシリコーンとなっています。


    シ リコーンは従来より屋根や窓枠などにしか使われていませんでしたが、10年、15年、風雨にさらされても劣化しないという特徴がありました。しかし、シリ コーンにどういう効果があるかは解明されていませんでした。弊社はこのシリコーンに注目し、中部電力・原子力安全技術研究所の公募研究に「もしかして使え るかも」と応募したところ採択され共同研究に至ったという経緯です。結局、弊社が主に扱っている屋根材や壁材とは別の方向で共同研究に向かったことになり ますね。(笑)


    現在は、名古屋工業大学大学院や京都大学大学院と、鉄板に塩水をかけて錆を早まらせる共同研究が進んでいます。また沖縄の方でも暴露試験をして、実際にfQcoonが塩害の対策法になることを証明する研究も行っています。


    ▲丸大鐵工株式会社 代表うけたまわり役 長松孝俊 様



    ーー屋根材や壁材だけでなく、そこに吹き付けるシリコーン製品の製造も行われているのですね!では、他社との共創/オープンイノベーションに取り組もうと思われた背景を教えて下さい。 


    以 前は、できるとしても産学提携くらいで、同業種ともなかなか共同研究には至れませんでした。しかしAUBAには「何とか新しいものを」「他とは違うもの を」という方々がたくさん集まっていらっしゃったので、そういう風に接点を持たせてくれる場所があるのだと思いAUBAを利用し始めました。



    ●AUBAをどのように活用しているのか?


    ーー現在はAUBAをどのように活用されていますか?


    私が1人でAUBAの窓口を務めています。企業の検索方法はとても簡単で直感的なワードにて迅速に検索できますので、業務を円滑に行えています。



    ーーAUBAを利用する際に、工夫されている点はございますか?


    AUBA利用開始直後は提携の経験がなかったので、「困ったなー、チケットもらったから一応全部使ってみようか」という感じで使ってみました。しかしそれでは上手くいきませんでした。


    そ んな時、AUBAから無料のオンラインコンサルのご案内があり、コンサルタントの方とお話する時間をいただきました。そこで、相手企業に送る文面に関して 熱心なアドバイスを頂くことができました。AUBA利用開始直後に、自社の商材を売りたい!という強引な文章ではなく柔らかい印象の文章を作れたことが、 弊社にとっては非常に大きかったですね。


    ま たその際、コンサルタントの方から、文章の最後に「もしお時間よろしければZOOMでご挨拶させていただきたいです」という言葉を入れるようご助言いただ きました。ZOOMに不慣れな当時の私は多少の不安を覚えていましたが、実際に相手の目や顔を見てお話しすると自然と安心感・説得力が上がることを感じ、 その後はWeb会議を活用したコミュニケーションを積極的に取るようになりました。



    ーー他社様に送るメッセージの工夫とWeb会議の活用が重要ということですね!では、AUBAをご利用されてみての印象をお聞かせください。


    AUBAにご登録されている企業は優良企業が多いなと感じています。

    それは、AUBAが最近の活用状況についてマメにアポイントを取って下さっているからだと思います。その時点で、やる気のある企業とやる気のない企業が自然と振り分けられる仕組みになっているのかなと。


    ま た、お互いに夢を活かせるような熱意のある人たちが集まっているのも印象的です。提携のお話に関しても、こういう夢を持っているというお話に関しても、相 手が一緒になって真剣に考えて下さいますし、「いやうちとは合わないよ」という場合でもヒントをくださる企業様がいらっしゃいます。実際に以前、「うちと は合わないけどもしかしたら今はSDGsだから紙がいいかもね」とアドバイスをいただき、それがきっかけで現在は紙の会社にアプローチをしているところで す。共創が難しいから意味がないという訳ではなく、とりあえず近いところにアプローチをしてみて、そこから始まることもあるのではないかなと思います。



    ●活用による成果/変化は?


    ーー実際にお取り組みに進まれているお話はございますか?


    共創中の企業は5社です。


    1社目は、鉄板加工をメインに行われているダイソウ工業株式会社様です。

    通 常ステンレスは錆びないという定説がありますが、沖縄などの塩害地域ではステンレスでも錆びてしまいます。そこで、先方が取り扱っている社名プレートなど のステンレス商品にfQcoonを吹き付けることで錆びを防ぐ取り組みをしています。さらに、シリコーンを吹き付けることで、冷たい、切れのあるような鉄 ではなく、柔らかい触感の鉄に変えることもできます。(関連記事:vol.101 AUBA活用事例インタビュー 他業種との共創も視野に新規事業の軸を模索!3本柱から4本柱へ/ダイソウ工業株式会社)


    2社目は、シニア向けのステッキを扱われている株式会社インターリンクス様です。

    弊 社のfQcoonを使って「殺菌作用」という付加価値を付けました。現在猛威を奮っているコロナウイルスなどのウイルスは、外部の膜を壊すことで増殖を抑 えることができます。この膜の破壊には、アルカリ性のものが効果的であると最近の研究から明らかになっており、fQcoon自体をアルカリ性にしてステッ キに塗布することで、殺菌効果を持ったステッキという新商品の開発に繋がりました。


    3社目は、有限会社TAA設計様です。

    先 方は設計図の制作だけでなく、地元の大学とコラボしたデザインの開発にも取り組まれています。その一例が「風によって回転するベンチ」です。コロナ禍で会 話時の飛沫が問題となる中、風向きによって回転するベンチであれば、横並びに座って会話をしている人たち同士の飛沫を抑えられるという構想に基づいていま す。ベンチの上に付いているホロが風を受けてベンチ全体が回転する仕組みになっているのですが、このホロを何十年も持たせるには良い素材を新たに作らない といけませんでした。しかしfQcoonを使えば、下地を安価なものにしてそこにfQcoonを吹き付けるだけで、安価かつ長持ちする素材を作成できま す。コストを抑えながらも先方にとって理想的な素材を作れる、ということでお話を進めています。


    4社目は、有限会社伸松園様です。

    先方は同じ静岡県の会社で、老舗の植木企業さんです。樹木はキズができると商品価値が下がるという課題がありました。そこで、劣化した部分を削って、そこに貼ることのできる人工の樹皮パッチを弊社が試験的に作成しました。

    先方は88年もの歴史のある会社さんですので、彼らのブランドで売った方が伸びるのではないかと考えており、先方のプライベートブランドでの販売をご相談しているところです。彼らの市場で伸びて欲しいなと思っています。


    また、伸松園様を含む3社〜4社で別のプランも検討しています。

    静 岡といえばお茶ですが、近年お茶の需要の低下が問題視されています。では、お茶を売るにはどうすればいいか?と考えた時に、お茶を活かす雰囲気づくりが効 果的ではないかなと。弊社の福瓦という本瓦に近いデザインの軽い瓦を屋根に使用し、和の象徴とも言われる庭木をアレンジしてお茶を嗜む雰囲気に合うような 和風建築を建築家の方にデザインしていただくという取り組みです。各企業同士にてアイデアを持ち寄ればWin(建築)-Win(庭木)-Win(茶)- Win(福瓦)も夢ではありません。


    5社目は、株式会社FLAG-41様です。

    こ ちらは弊社のメインとなるWonderfulRoof福瓦(金属瓦)での共創となります。阪神淡路大震災では瓦の下敷きとなる圧死が非常に多くなりまし た。先方のご担当者様も阪神淡路大震災をご経験され、この被害を無くすために開発した非常に軽い金属瓦を静岡から発信しようと永続的なプランニングを協議 しております。Web会議では、とても友好的かつ前向きな内容にて、夢を現実に変えていくためのノウハウをいただいております。



    ーー貴社のシリコーン製品を軸に、異なる分野の企業様と共創を進められているのですね!では一方で、オープンイノベーションに取り組む上での課題等は感じられましたか?


    fQcoon は、シリコーンをペンキのようにすることで取り扱いを楽にしたものですが、ペンキとは全く異なります。ただ、見た感じ建材に塗布するペンキのような役割を しているので、AUBAの利用を開始した当初は塗料を扱う企業さんを共創相手として探していました。しかし実際にお話をしてみると少し方向性が違うことに 気が付きました。弊社がやりたいのは互いの夢をぶつけて新しい何かを生み出すことですが、塗料を扱う企業さんにお話に行くと、「値段はいくら?」「証明書 はあるの?」という既存の製品を販売するお話にとどまってしまうためです。なかなか新しい物を生み出すところまで行きつかなかったのが、最初に感じた課題 です。


    また、数多くの大手企業さんと面談をする中で、大きな企業だから大きな話になるだろうという軽率な考えを持ってはいけないということも痛感いたしました。


    そこで、共創相手の視野を広げることにしました。弊社の製品をただの”塗料”として捉えるのではなく、”既存の製品・素材に高付加価値を与えられるもの”と捉えることで、これまで共創相手として見ていなかった企業さんとの共創可能性が見えてきました。



    ーー共創相手の視野を広げることが、共創の成功につながったのですね!AUBAを通じたオープンイノベーションに取り組む前と後で、何か変化を感じられた部分はございますか?


    こ のような社会情勢であっても、夢や可能性の広がりを感じ気持ちが前向きになりましたね。この事は会社を経営する上ではとても大切であり、とてもAUBAに は救われました。身近な企業だけでは同じ志の経営者と出会うことは不可能でした。それがいとも簡単に実現できたことはミラクルな出来事であり、”ピンチを チャンス”に出来ているのだと感じております。



    ーー最後に、今後の展望をお聞かせください。


    fQcoon においてはAUBAの向上心旺盛な企業によってWinWinへと導かれ、福瓦においてもAUBAの優良企業によって活かされて大きく育つこととなりそうで す。また、2022年は国土交通省によって半世紀ぶりに屋根瓦の防災減災政策が法改定されるため、より大きな飛躍の年になると思います。



    ーー貴重なお話ありがとうございました!



    ※※今回ご紹介した企業にご興味頂いた方は是非以下よりコンタクトが可能です※※


    【丸大鐵工株式会社】

    https://auba.eiicon.net/projects/22501


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    岩切 寛

    eiicon company

    AUBA運営事務局にてカスタマーサクセスを担当しています!
    皆様のAUBA活用に役立つ情報をお届けしてまいります。